「気分は下剋上 叡知な宵宮」31(18禁)

「気分は下剋上」叡知な宵宮
This entry is part 31 of 32 in the series 気分は下剋上 叡知な宵宮

【18歳未満の方は閲覧できません】

この作品には、性行為や身体的接触などを含む成人向け描写が含まれています。
18歳未満の方、またはこのような内容に不快感を覚える方は閲覧をご遠慮ください。
作品内の描写・登場人物・設定はすべてフィクションであり、実在の人物・団体・場所とは一切関係ありません。

「ルームサービスは、また今度ということにして……。やっぱり窓一面の花火は迫力が凄いな」
 最愛の人は、紅色の指でグラスに白ワインを注いで宙にかざしている。そのワインにも花火の赤と白の煌めきが映えてとても綺麗だった。そのワインに映った花火を愛でるように最愛の人がグラスを回すと、煌びやかに光る万華鏡が束の間の命を誇っているようだった。
「聡、来年もこの部屋を予約しましょうね。部屋から見る花火、そして……色香をただ一枚の絹のように纏った妖艶な肢体の聡を見て、感じることができるのですから、来ないという選択肢はないです」
 最愛の人は花火に浸したようなワインを紅色の唇に含み、祐樹の唇へと重ねた。最愛の人の唇から流れ込む白ワインは乾いた喉に沁み込むような甘露だ。
「花火の終了時刻まで、愛の行為を愉しめる……という気がする。何だか時間制限があるようで……、しかし、その制限の中で祐樹に天国を見させてもらえるのだから文句は言えないが……」
 最愛の人からワイングラスを受け取って祐樹も口に含むと彼の花のような唇へとワインを流し込んだ。最愛の人と付き合う前は、「グレイス」で知り合った人と「休憩」と看板が出ているホテルに行ったことも多く、制限時間があるほうが普通だと思っていた祐樹だ。延長料金とか宿泊にプラン変更をする気にもなれず、性欲を発散出来たらそれでいいと思っていた。
 最愛の人に対してはそういう即物的なことはしていない。単なる財布の事情というわけではなく、愛情の問題だろう。彼と付き合う前は、薄給だったということも大きいだろうが、それだけではないような気がした。ただ、そういうホテルがあるという点は最愛の人も知識として知っているが、祐樹が過去に使ったことがあるということは言わなくてもいいだろう。
 ワインのお礼に慎ましやかな胸の小さなルビーを指でそれぞれ摘まんできゅっと捻った。
「あ……っ」
 咲き切った花が満足した吐息を放つような、艶やかで甘い声が花火の映る室内に文字通り花を添えているようだった。それに、ツンと尖った二つのルビーは硬さも指に心地よい。
「聡の極上の花園の門は、今、最高に美しいでしょうね。花火で彩られているのでなおさらに……。よろしければ見せてください。ああ、ベッドに手をついて腰を上げたほうがよりはっきりと見えるかと思います」
 さきほどの一度目の交わりのときには、最愛の人が望む奥処の奥ではなくて、凝った蕾の場所で真珠の熱い迸りを放った。二度目はベッドでというのが二人の共通認識だ。だから最愛の人も花火の色が映った肢体を匂いやかに動かしてベッドに手をついて、腰を宙に浮かせている。純白のシーツに紅色の長い指が広げられている様子は、艶やかさと大きさを増した紅葉、いや先ほどの花火の牡丹の花のような美しさだった。
 要を失った舞踏用の扇子を彷彿とさせて長く細い足が開かれた。先ほどは熟した白桃のような場所が、祐樹が腰を打ち付けたせいでサクランボの果肉のような煌めきを宿していたのも、最高の眺めだった。祐樹の指がその双丘の狭間を割ると深紅に染まりながらもなお艶やかだった。中心に宿る祐樹の真珠の雫がわずかに震え、ぽたりと静かに零れ落ちて、窓外の花火の黄色でトパーズのような一滴さえもが、あまりに美しくて、目を逸らすことができなかった。
「祐樹、このまま、二回目の愛の交歓を?」
 甘い吐息混じりに聞こえた。
「いえ、聡も花火を楽しみながら、私と愉しみたいでしょう?私も聡の肢体に花火が映える様子を見たいです。だからベッドの上で……」
 甘い毒を流し込むように薄紅色の耳朶に欲情に濡れた声で告げたのち、尖らせた舌で耳の後ろを愛撫した。皮膚の薄い場所は、最愛の人の性感帯なのは知っている。ベッドに手をついた最愛の人の肢体が紅い太刀魚のようにしなやかで優美にうねっている。祐樹はバスルームからバスタオルを持って戻り、ベッドに上がる。
「聡、さあ、いらしてください」
 手を伸ばすと最愛の人の指が祐樹の手首をつかんだ。
「私は、もうこんなに育っています……。聡の極上の花園に私が撒いた真珠の迸りを見たからですが……、この責任は取っていただきますよ」
 最愛の人に柔らかで甘い視線を向けると、彼の横顔に赤い花火が映え、ただでさえ大輪の花を彷彿とさせる人なので相乗効果が三倍、いや十倍になっているような気がする。
「こうか……」
 最愛の人は祐樹の熱に紅色の指を添え、場所を確かめるように身を沈めてきた。一瞬、二人の吐息が重なり、結び目がゆっくりと再び結ばれていく。祐樹の放った真珠と、花園が奏でる淫らな水音が、つながった場所から微かに響き、花火の轟音に溶けていくようだった。

―――――

もしお時間許せば、下のバナーを二つ、ぽちっとしていただけたら嬉しいです。
そのひと手間が、思っている以上に大きな力になります。

にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ
にほんブログ村

小説(BL)ランキング
小説(BL)ランキング

PVアクセスランキング にほんブログ村
Series Navigation<< 「気分は下剋上 叡知な宵宮」30(18禁)「気分は下剋上 叡知な宵宮」32(18禁) >>

コメント

タイトルとURLをコピーしました