「気分は下剋上 月見2025」最終話(18禁)

月見2025【完】
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This entry is part 25 of 25 in the series お月見 2025

 祐樹が最愛の人の極上の花園へと深く突き入れると、腰に絡まった彼の両足が「もっと」というように力を加えてくるのも最高だ。祐樹の律動に合わせて彼の腰も宙へと浮かび上がって奥の奥へと招き入れてくれる。結合部分からは熱く淫らな協奏曲が、鈴虫の音を凌駕して辺りに響いていた。
「祐樹……とてもぃ……」
 冴え冴えとした月の明かりに照らされた最愛の人の紅色の肢体は全身で祐樹を求めてくれているのが分かり、愛おしさが募った。祐樹が腰を引くと、最愛の人の両足が強い力で押し戻してくれるのも最高にそそる。彼の育ち切った愛情と欲望の象徴からは蜜がとめどなく溢れて、祐樹の腹部に淫らな水彩画を描いていた。その無垢な淫らさに加えて、熱く厚いシルクが祐樹の灼熱の楔をひたりと包み込んで奥へと誘う貪欲な快楽の追求も眩暈めまいがするほど煽情的だった。
「聡、貴方の全てが愛おしくて、快楽が暴走しそうです……」
 彼の奥の奥処を突きながら唇を近づけてキスをした。しなやかに反る薄紅色の細い首の動きに唇を合わせるのも一苦労だったが、何とか腰の動きを調節して甘く熱い口づけを交わした。彼の熱い息吹に唇が濡れるのも微細な悦楽を祐樹に運んでくれた。
「何度でも……いい。――私はずっと、頭の中で……快楽の大波にさらわれて……高みから落ちているような……そんな悦楽を感じているのだから……」
 乾いた絶頂の状態がずっと続いているらしい。それは、相手を求める精神状態にも左右されると聞いている。最愛の人が、祐樹をどれだけ深く求めてくれているのかと思うとそれだけで心が熱く満たされるようだった。
「あ……っ、ゆうき……祐樹、奥が熱い……っ、私も……もう……」
 祐樹が欲望の堰を切らせたのと、腹部に熱い飛沫がかかったのはほぼ同時だった。最愛の人の弛緩した肢体が月明かりに照らされて神々しいまでに美しかった。欲望が満たしたた満足そうな表情に、大粒の汗の雫がダイヤモンドのような煌めきを放ち――その悦楽の余韻とのギャップにも心が躍った。
「月明かりの下で見る聡のその肢体は、まるで満月に愛された妖精のようですね。とても綺麗なのですが、月からの迎えが来て天に上った『かぐや姫』のような儚さを感じます……」
 最愛の人は甘く熱い息を整え、祐樹に口づけてくれた。
「以前言っただろう?『祐樹は私の太陽だ』と。あの冴え冴えと光る月は、太陽の光を反射している。つまり祐樹という太陽のおかげで私はこんなにも満たされている。祐樹がいてくれるからこそ、私は私であり続けることができる」
 最愛の人の言葉はベートーヴェンが作曲した「月光」のような静謐さと情熱が溢れているようだった。最愛の人と一緒にテレビで見た、映画「不滅の恋人」で身分違いの恋人・伯爵令嬢との結婚を望み、伯爵家で難聴のせいで聞こえないピアノの振動を頭で感じていた名シーンが祐樹の頭をよぎった。異なる点としては彼と祐樹には一介の医局員と教授職というポジションの違いは身分の壁よりも超えやすいということだけだ。そして彼はそのような壁などやすやすと飛び越え祐樹を愛してくれている。
「聡の言葉にはベートーヴェンの『月光』がよく似合いますね。愛の交歓のときには彼の第九――『歓喜の歌』が相応しいとずっと思っていました。しかし、この満月の下での愛の交歓は、『月光』のほうがより似つかわしいと思います。聡は、月は太陽の光を反射して光っているとおっしゃっていますが、恒星であるあの星々よりも、はるかに煌めいて見えます。私にとっての聡は、月よりも魅惑的で――ずっと一緒に居たいと心の底から思える大切な恋人です」
 最愛の人は月を主役にして煌めく満天の星よりも綺麗に微笑み、その笑みを形作った唇のままで約束を交わすように祐樹の唇に重ねてくれた。
「祐樹、永遠に一緒に過ごそう。明日は部屋から出ずに浴衣のままお酒を飲んだり肴を食べたりして、もちろん愛の交歓も」
 最愛の人の花のような唇にキスをして「イエス」と伝えた。
「聡、貴方こそが私の不滅の恋人です」
 真摯に告げると、最愛の人は出典を思い出したのか少し困ったような表情を浮かべ「悲恋として絶対に終わらせないのだけれども……」と呟いた。
「悲恋ではなく、二人で永遠の愛を目指しましょう」
 祐樹は強い口調で告げたのちに、決意の口づけを彼へと送った。

 <完>

―――――

読者様

「秋」シリーズ両方に<完>をやっと打てました。ここまで読んで下さってまことにありがとうございます。今後の更新予定なのですが、短編の「教授執務室でのお茶会」二話(すでに書きあがっています)と中編「ハロウィン2025」(遅いって……汗)を予定しています。「知らぬふりの距離」と合わせて楽しんで下されば作者冥利に尽きます。

 こうやま みか拝

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