最愛の人は祐樹の浴衣と下着を月明かりに煌めく指で器用に乱したかと思うと、床に膝をつき、まだ半ばしか育っていない祐樹の愛情と欲情の象徴を捧げ持った。まるで貴重な彫刻を扱うような仕草が素敵だった。
そして、紅色の唇と朱色の舌で先端部分全体を舐めてくれた。その舌はまるで上質なベルベットのようで、瞬く間に熱が走った。勃ちあがった祐樹の敏感な場所を艶やかな瞳が嬉しそうに見たかと思うと、勢いをつけて口の中に迎え入れてくれた。
上顎のざらついた感触や濡れたベルベットの舌、そして開いた喉の窮屈さが堪らなく良い。彼が頭を上下に動かすと、猫がミルクを舐めるような音が響き、それが鈴虫の鳴き声よりも妙なる音を奏でているのが、たまらなく良かった。
最愛の人の口戯も最高に良い。思わず声が出てしまうほどで、それを自制するために最愛の人の頭に手を置いてやや細い髪を撫でた。
最愛の人との愛の交歓には暗黙のルールがあり、彼の極上の花園に挿れたのちには、この行為はしないと決めている。また、この極上の口戯のあとはキスは交わさないのが暗黙の了解だが、彼は露天風呂に入って口をすすいだらリセットされると思っているに違いない。
快楽のあまり祐樹の身体がぶるりと震えた。それに、彼は月光を纏った肢体のどこも隠してはいないのに対し、祐樹は肝心な部分だけを晒していた。その部分は最愛の人が目を閉じて味わっている。無垢で淫らな顔を月明りが照らしているのも絶品だったが、浴衣を着用している祐樹と生まれたままの姿を晒している彼という非対称さも最高にそそる。
「そろそろ、限界のようです……」
堰を切ってしまいそうになるのを必死で耐えた。愛の交歓のときの二人のルールなどを祐樹が考えていたのは、あまりにも良すぎて真珠の迸りを放ってしまいそうだったからだ。
「このまま、聡の口や喉の中に放ってもいいですか? それとも、極上の花壁の中に迎え入れてくださいますか?」
最愛の人が下着をつけていなかったということは、彼の望みはきっと後者だろうと思ったが一応聞いてみた。愛の交歓は一方的なものであってはならないと思っていたので。今は彼の口での「奉仕」だが、トータルに考えた場合にフィフティーフィフティーになればいいと彼も言っていた。
喉の心地よすぎる締め付けから解放されたが、くびれを彼の紅色の唇が優しく挟んでいる。
「祐樹はどちらを望むのだ?」
ややくぐもった声が熱を帯びているように思えた。口の中にも感じやすい場所があるので、彼もそれなりの悦楽は得ているのだろう。
「口でも良いですが、やはりこちらで……」
髪を撫でていた手を背骨に沿って下した。それだけの愛の仕草でススキのようにしなやかに反る肢体が愛おしい。白桃のような双丘を両手で開き、最愛の人の極上の門に指を挿れた。祐樹との愛の交歓に慣れた門は、祐樹の指をしなやかに嬉しげに迎え入れてくれた。
「分かった……。私もそちらのほうが望みだった……ずっと祐樹を……っ待ち侘びていた……っ。あ、そこ……っ、悦……っ」
最愛の人の快楽の核を指で押すと月の光を映した肢体が銀の弓のように反った。
「こちらにいらしてください」
テーブルの向こう側には縁台めいた場所があり、そこに最愛の人を誘導した。彼の指の付け根まで祐樹の指を絡ませると、最愛の人は、口戯の余韻で紅く染まった唇を咲ききった薔薇のような笑みを浮かべている。祐樹は床に身を横たえ、最愛の人を熱を帯びた視線で見つめた。
「聡が上に乗ってください。きっとそのほうが身体への負担も軽いはずです」
取っておきの甘く低い声で誘うと、彼の肢体が優雅で淫らな動きで祐樹の身体に乗って、身を沈めていった。極上の花園に迎え入れられる悦楽も最高だ。そして、二人の身体が一つになる途中の淫らな神秘さをまとった水音が、喘ぎ声とともに奏でられるのも天上の音楽のような気がする。伴奏は鈴虫の鳴き声でというのがまたいい。
「あ、祐樹の……っ、熱く、硬いもので……っ、開かれるのが……、堪らなく……っ、悦……っ」
艶やかで甘い声が静謐な月の光よりも煌めいて聞こえた。祐樹の身体の上に乗った最愛の人がひたむきで熱いダンスを踊っている。その動きの精緻さにめまいがするほどの悦楽を感じる。熱く厚い濡れたシルクのような花壁が、強く弱く祐樹を包み込み、それだけでも頂点を極めそうなのに、肢体の動きが加わると彼の秘めた魔性を存分に感じ取ることができた。彼が祐樹の熱い楔を根元まで迎え入れてくれると、紅く染まった顔に宿った汗の雫が煌めきながら祐樹の身体へと落ちてくる。
その彼の頭の上には二人の愛の交歓を祝福するように満月が黄色い光を放っていた。
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