大人向けBL

月見2025【完】

「気分は下剋上 月見2025」8

「この宿も素晴らしいな。お香の香りがどこからともなく漂ってきて、精神が澄んでいくような気がする。それに一輪挿しに飾られた、萩とお・みな・・えし・・の花が秋に相応しい繊細さだ……」 旅館のロビーに足を踏み入れた最愛の人は満足...
短編

「気分は下剋上 BD・SP」後編

 祐樹の愛車の後部座席は狭い。もともとこの車を買ったときには最愛の人しか乗せる積りはなかったので当然なのだが。華奢な身体の呉先生はともかく、森技官には窮屈だろうと思ってミラーを見ると案外穏やかな表情で身体をシートに預けて振動に身を...
短編

「気分は下剋上 BD・SP」中編

 キャリア官僚サマらしく黒塗りのクラウンなのはまだ想定内だったが、どこをどう走ってきたのか、うっすらと灰色の砂みたいなものが車体全体を覆っている。それにバンパーがぐしゃりとひしゃげている箇所と、白い擦り傷がついて樹脂の下地が覗いて...
月見2025【完】

「気分は下剋上 月見2025」7

「それは、個人の能力や働き方への意識など様々な要因が絡み合いますので一概には言えません。フリーランスの医師は自営業者と同じで、手術のオファーが来ないと収入は途絶えます。ただ、執刀のギャラは言い値らしいですね」 久米先生だけ...
sira

「気分は下剋上 知らぬふりの距離」49

「柏木先生、准教授会が残念ながら延長になったようです」 黒木准教授は外科的なセンスは並みといったところだが仕事は早い。医局で何かが起こったとき、すぐに連絡が取れるように情報を書き換えたのだろう。兵頭さんのウツの件を早く相談したかっ...
◯◯の秋 2025【完】

「気分は下剋上 ○○の秋」12

「神戸の六甲山にドライブに行ったときもイノシシを見ましたよね。うり坊は小さくて可愛かったですが、成体は……」 最愛の人も描いたように綺麗な眉を寄せている。祐樹の言いたいことを即座に推察したのだろう。祐樹と同じ、いやそれ以上の頭脳を...
短編

「気分は下剋上 BD・SP」前編

「森技官、田中です。お時間少しよろしいですか?」 スマホ越しに慌ただしそうな物音が聞こえてくる。『重要な用件なら時間は作ります。藤宮!この法案の第二項は対象者が少なすぎる!社会的弱者をさらに救うように修正しないと厚労委員会にも通ら...
月見2025【完】

「気分は下剋上 月見2025」6

 それでも祐樹や柏木先生が久米先生見捨てないのは愛嬌がある点と、そして何より外科医としての才能が素晴らしいからだ。「美味しい食事と、世界で最も美味なコーヒーありがとうございました。温泉も楽しみです」 ごちそうさまと言った後...
sira

「気分は下剋上 知らぬふりの距離」48

 滅多に見せない柏木先生の真剣な顔は心なしか男前に見えた。「もちろんです」 柏木先生は医局の秩序を重んじる人なのでまずは黒木准教授に報連相をするつもりなのだろう。「今の時間は確か……」 柏木先生がパソコンの共用ファイルを開...
◯◯の秋 2025【完】

「気分は下剋上 ○○の秋」11

「白の鉢巻か……。一応干瓢かんぴょうも考えたのだけれども、真っ白にはならなかったので諦めた。他に白くて巻くことが出来る食材はあるだろうか?」 最愛の人が作ってくれる最高に美味しいお節料理の昆布巻きにも干瓢が使われているが茶...
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