大人の恋

月見2025【完】

「気分は下剋上 月見2025」21

「特に畳の部分に私が差し上げた愛のエキスを零さないでくださいね」 最愛の人の花園の門は、どういう遺伝子のバグなのか激しい愛の交歓をしたのちにも花園の門はきっちりと閉ざされると知っていた。祐樹が、一夜の戯れに抱いた男性はみな、行為の...
aki

「気分は下剋上 ○○の秋」20

「祐樹!私も草むらの中に落ちているイガを見分けられるようになった!あれだろう」 彼の弾む声がし、軍手をはめた指で指し示す方向を見ると、祐樹でも見逃してしまいそうな、緑色の部分が多いイガが落ちていた。あの大きなイガの中には大...
月見2025【完】

「気分は下剋上 月見2025」18

「水曜の百貨店だろう?エルメスの近くを確かに通ったので多分そのときに見られたのだろうな。ただ、『医療従事者視点での病院改革』や応用できそうな術式は病院の中だけしか考えないようにしている――ん!この月見だんごの歯ごたえがモチ...
月見2025【完】

「気分は下剋上 月見2025」15

「博物館やハリー・ウィンストンといった法人が持つ場合には別にいいと思いますが個人で持つと呪われるのでしょうか?」 二人で行ったスミソニアン博物館展の説明書きに書いてあったことを思い出しながら口にした。ちなみに祐樹は無神論者...
月見2025【完】

「気分は下剋上 月見2025」9

「この裁縫セットの中に小さなハサミならありますよ。この旅館ならこのような物も用意されているのではないかという予想が当たりました。器用でない人が使う場合はこの糸を切るくらいしかできないでしょうが、貴方なら楽勝でしょう」 第二...
aki

「気分は下剋上 ○○の秋」11

「白の鉢巻か……。一応干瓢かんぴょうも考えたのだけれども、真っ白にはならなかったので諦めた。他に白くて巻くことが出来る食材はあるだろうか?」 最愛の人が作ってくれる最高に美味しいお節料理の昆布巻きにも干瓢が使われているが茶...
aki

「気分は下剋上 ○○の秋」10

「焼き栗?祐樹と行った花火大会の屋台に『天津あまつ甘栗あまぐり』が売っているのを見た覚えはあるが、りんご飴に気を取られて結局買っていないな」 きのこの山を弾む指先で摘まんで口に入れた最愛の人の無邪気な笑みを見ながら、「あま...
aki

「気分は下剋上 ○○の秋」9

 無邪気な弾んだ声が車内を春色に染めていくようだった。几帳面な彼が珍しくキッチンのテーブルに置きっぱなしにしていた「遠足のお菓子リスト」は、祐樹に見せるためではないのだろう。 あの夜キッチンに足を運んだのは急に喉が渇いたからだった...
sira

「気分は下剋上 知らぬふりの距離」教授視点27

「私はまだ大丈夫ですが、貴方は眠そうですよ。明日も仕事なのでお休みになったほうがいいかと思います」 祐樹の低い声が夜も更けたキッチンにしめやかに響いた。「そうだな。祐樹が帰宅する午前三時は眠りが自然と浅くなって帰宅した気配を嬉しく...
aki

「気分は下剋上 ○○の秋」8

「祐樹は軍手だけで良いのか?」 彼が描いたように綺麗な眉を寄せている。軍手だと心もとなく思ったに違いない。当たり前だが手を始めとして身体の怪我を負ってしまえば仕事に差し支える。「物心ついた時から山や海を走り回っていましたか...
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