大人の恋

yoimiya

「気分は下剋上 叡知な宵宮」18

 「鬼退治アニメ」の「黄色い少年」ならぬ「青年」の浴衣を着付けたことなどなかったかのように、最愛の人は満開の薄紅色の薔薇のような笑みを浮かべ、弾む足取りでいちご飴の屋台に向かっている。「祐樹、よく考えたのだが、りん...
yoimiya

「気分は下剋上 叡知な宵宮」17

「どちらかというと、いちご飴ですね。愛らしい一口サイズですし――」 唇を薄紅色の耳朶に寄せた。「ホテルでの愛の交歓のあとは喉が渇くでしょう?その時に手軽に召し上がれるのは、いちご飴ではないでしょうか?」 色香の他に...
「気分は下剋上」叡知な宵宮

「気分は下剋上 叡知な宵宮」16

「それが……たこ焼きは、表面は冷えていても中は熱々だということが多いです。救急救命室の凪の時間に久米先生が何度口の中に火傷を負ったか。それに懲りたらしく、たこ焼きではなくてお好み焼きにシフトしましたよ……」 大学病...
「気分は下剋上 巻き込まれ騒動」

「気分は下剋上 巻き込まれ騒動」最終話

「祐樹、このニュース速報……」 トレーにコーヒーを載せてリビングに軽やかに入ってきた彼も涼しげな眼を見開いている。「森技官がこのタイミングを狙って、白石志保にマスコミの目が集中するように仕向けたのでしょうね。ちなみに清川大...
「気分は下剋上」叡知な宵宮

「気分は下剋上 叡知な宵宮」15

「このたこ焼き、半分こにしませんか?」 さっきの串カツと、それから無料で添えられたキャベツも思いっきり食べた。最愛の人に「大阪人でもないのに、食べ放題とか無料という言葉に弱いのだな」と切れ長の目に月光のような笑みを...
「気分は下剋上 巻き込まれ騒動」

「気分は下剋上 巻き込まれ騒動」98

 マンションにはすぐ着いた。何しろ大学病院は徒歩圏内なので、森技官の足の怪我がなければそもそも車を出す意味もなかった。「気分転換にドライブでもしますか?」 祐樹としては、このまま部屋に帰りたいのが本音だったが、助手席の最愛...
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「気分は下剋上 叡知な宵宮」14

 この全国的にも有名なお祭りは老若男女でごった返しているが、さすがにいい年をした男性二人というのは人目につく。 ちなみに長岡先生から譲り受けた、祭りを全て見渡せて花火を楽しめる扇型の部屋は一般客ではなくてホテルがV...
yoimiya

「気分は下剋上 叡知な宵宮」13

「それは本当に良かったですね。私はこのラスボス、自分が攻撃されたときに、加害者である主人公たちのリーダーの『妻と娘は承知の上だったのか?』と考える点が妙に現実的で、むしろ小物感がにじみ出ていた気がします。あんなのが実際に居...
yoimiya

「気分は下剋上 叡知な宵宮」10

「うん!美味しい!衣がサクサクとしている。それに、天ぷらと違って厚みがあるのだな……。具体的にどうやって作るのだろう?ソースも濃厚で甘味が強いな……」 切れ長の目に無垢な煌めきを宿し、綻んだ唇は静かな感想を紡ぐ。祐樹も、サ...
yoimiya

「気分は下剋上 叡知な宵宮」9

「祐樹、祐樹の言った通り、串カツ屋さんがある!」 最愛の人の咲き初めた花のような無垢な笑みと弾んだ声が、川沿いのお祭り会場に漂っていた湿度すら吹き飛ばすようで、祐樹は思わず息を深く吸い込んだ。彼は紺よりも少しだけ夜空に近い...
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