大人の恋

irumi

「気分は下剋上 イルミネーション 2025」14

「また後ほど。聡、愉しみにしています」 呉先生が体育座りから立ち上がったのが視界の端に映ったので、祐樹は、愛らしく尖った突起を強く捻った後、指をさり気なく離した。「祐樹、私こそ待ち望んでいる……」 薄紅色の唇からは熱い吐息が零れて...
短編

「気分は下剋上 寒い夜の一幕」前

寒い夜に、屋台のおでんの話を。 静かな夜更けに、二話まとめて公開しています。 「祐樹、お願いがあるのだけれども」 朝食を食べ終わって、お代わりのコーヒーをトレーに載せた最愛の人が怜悧な声にわずかな弾みを含...
irumi

「気分は下剋上 イルミネーション 2025」13

「え?うーん……下手というか、オレの反応を見てないよなって感じるんです。人によって感じる場所は異なりますよね?それなのに、マニュアルがあるのかどうかまでは知らないんですけど、どっかで習ってきたお手本通りって感じなんです。下手という...
irumi

「気分は下剋上 イルミネーション 2025」7

「カニ、カニ!カニ!!」 呉先生の頭の中にはカニしかないのではないかと思うほど、はしゃいでいる。その様子を珍しいものでも見るように最愛の人が静謐な表情で眺めている。あれほどヘリコプターの中でゴディバのタブレットとベビーカステラを食...
「気分は下剋上」イルミネーション 2025

「気分は下剋上 イルミネーション 2025」6

 呉先生は細い指をぶんぶんと振りまわしている。どうやら呉先生の演説が始まりそうな気配だ。「お前が潜入している兵庫県庁だって何かを作れば県内外から観客が押すな押すなの大盛況だと思って箱モノを建てるだろう?そしてさ、全く上手くいかなく...
irumi

「気分は下剋上 イルミネーション 2025」5

 アルマーニと思しき、光沢のあるカシミヤのコートが、エリート然とした雰囲気を引き立てているのもいちいちムカつく。きっぱりした印象を、見る者に与える紺色のスーツといい、几帳面に締められた青色のネクタイと相まって「出来るビジネスマン」...
「気分は下剋上 ハロウィン2025

「気分は下剋上 ハロウィン 2025」19

「ちなみに呉先生はマンガやアニメは見ますか?」 呉先生の口からそれらの話題が出たことはない。しかし、病院内には、内田教授のように家では見るけれども、むやみに口外しない人も一定数いることも祐樹は知っていた。「いえ。見る習慣はありませ...
irumi

「気分は下剋上 イルミネーション 2025」5

「まだ県庁に詰めているみたいなのでコーヒーでも飲んで待ちましょうか?」 呉先生は童顔なのでモフモフしているコートがよく似あう。非常事態になったら快適な毛布として使えそうな感じだ。そんなことは作り手も想定していないだろうが。「えと、...
irumi

「気分は下剋上 イルミネーション 2025」4

「アメリカにいた時にデモ隊に行き会ったことがあった。彼らの主張はもっともだと思えるような類いのものだったが、あんなふざけた格好の人たちの言うことを真に受ける人などいないだろうと同僚が言っていた。確かに、目立てばいいという感じのコス...
短編

「気分は下剋上 今年限りのもの」前編

「祐樹、救急救命室の勤務明けの午前三時に病院の職員専用の門に迎えに行ってもいいか?」 最愛の人が作ってくれたふわふわのフレンチトーストを食べていた祐樹は、予想外の「お誘い」に驚いた。彼は朝食に相応しくポタージュスープをカッ...
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