医療モノ

sira

「気分は下剋上 知らぬふりの距離」48

 滅多に見せない柏木先生の真剣な顔は心なしか男前に見えた。「もちろんです」 柏木先生は医局の秩序を重んじる人なのでまずは黒木准教授に報連相をするつもりなのだろう。「今の時間は確か……」 柏木先生がパソコンの共用ファイルを開...
sira

「気分は下剋上 知らぬふりの距離」47

 執刀医も兼ねている祐樹は患者さんとの長い時間のコミュニケーションは不可能なので、移動の時間も時短を心がけている。「田中先生、三分お時間宜しいですか?」 三好看護師が小さな声で祐樹を呼び止めた。一般的な会社に在籍したことはないので...
「気分は下剋上 知らぬふりの距離」

「気分は下剋上 知らぬふりの距離」46

「有瀬さん、お加減いかがですか?」 夏輝の父・有瀬誠一郎氏の主治医として病室のドアを形ばかりノックしてスライドさせた。ベッドに半身を起こしていた有瀬氏は祐樹をちらっと見た後、ドアの向こうに誰かがいるように視線をさまよわせている。「...
月見2025【完】

「気分は下剋上 月見2025」4

 最愛の人は部下思いなので、真っ先に久米先生の話題が出てくると祐樹は予想していた。しかし普段以上に食べるのが早い彼はよほどお腹がすいていたのだろう。「執刀経験を積ませたほうがいいと思いますが、手術室はキャパオーバーですし、...
月見2025【完】

「気分は下剋上 月見2025」3

「田中です。お呼びにより参りました」 数えきれないほど来ている最愛の人の教授執務室のドアをノックした。教授執務階の廊下は絨毯もふかふかだったが、行きかう教授はともかく叱責のために呼び出された医師の顔は悲劇的な表情だった。祐樹の前を...
「気分は下剋上 知らぬふりの距離」

「気分は下剋上 知らぬふりの距離」44

「そういえば、パンチパーマと言うのですか?ドラマの暴力団の構成員の髪型なのですが……、ああいうのも学校で習うのですか?」 夏輝はリスのような風情で首を傾げているのも年相応の無邪気さだ。「え?授業では習わないですよ。でも、強いカール...
月見2025【完】

「気分は下剋上 月見2025」2

 そろそろ最愛の人の手術が終わった頃だなと時計を見た。一昔前、患者さんは言いたいことがあると看護師に話したらしいが、今は医師に直接言ってくるようになったので、切り上げ時が難しい。しかも、医師への不満があると不定愁訴外来に行...
「気分は下剋上 知らぬふりの距離」

「気分は下剋上 知らぬふりの距離」43

「お医者様も看護師さんも髪の毛の色を染めるのは禁止なんですか?」 夏輝は瞳をキラキラさせている。「あ!でも救急救命室の家族控室でドキドキしながら待機していた時に目立たないように染めている看護師さんがいました!!」 夏輝は将...
「気分は下剋上 知らぬふりの距離」

「気分は下剋上 知らぬふりの距離」42

「手術の日が決まるまで父は入院ですよね。家で倒れていないかとか、会社で具合が悪くなるとかの心配はしなくてもいいのはとても助かります。病院だといざというとき教授や田中先生がいらっしゃるので安心です!」 夏輝は強いて笑みを作っているの...
sira

「気分は下剋上 知らぬふりの距離」教授視点24

「私が学生だった頃にあそこでボランティアをしていましたのである程度は知っています」 黒木准教授は納得したように頷き、三好看護師と広瀬看護師に指示を出しにいった。ノロウイルス患者がこの心臓外科病棟で出ないように万全の対策をし...
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