医療モノ

短編

「気分は下剋上」SP 執務室でコーヒーを 後編

「私が流しそうめんみたいに、恋人に流されてしまったら、今頃私は東京のどこかの病院勤務か、下手したらどこかのタワマンで同居人の帰りを待つだけの存在になってしまいかねなかったのです。『オレはそういうの絶対に嫌だ!』と何度も釘を刺してい...
「気分は下剋上 知らぬふりの距離」

「気分は下剋上 知らぬふりの距離」71

「すみません。お二人の話が耳に入ってきてしまいまして」 黒木准教授は頭を下げた。黒木准教授が会話を聞いていたこと自体はさほど問題ではない。それよりも、彼がゲイバー「グレイス」に通っているかどうかのほうが気になる。最愛の人と出会う前...
halloween

「気分は下剋上 ハロウィン 2025」1

「今夜の飲み会のテーマはやはり、『鬼退治アニメ・劇場版』の世界的大ヒットでしょうね」 祐樹は、内科の内田教授と小児科の浜田教授と横を歩む最愛の人との飲み会を重視している。理由は単に話していて楽しいからというわけではなく、両教授の教...
短編

「気分は下剋上」SP 執務室でコーヒーを 前編

 夏輝の父・有瀬さんの手術の予定が決まったことを祐樹が夏輝に告げると、細い肩から重い荷物を下ろしたような表情でほのかに笑った。「ありがとうございます。執刀予定の香川教授にもお礼を言いたいんですけど、きっとご迷惑でしょうね……」 夏輝はそう...
「気分は下剋上 知らぬふりの距離」

「気分は下剋上 知らぬふりの距離」70

「あのう、ナースステーションってだいたい何人の看護師さんがいるんですか?」 夏輝の質問に少し面食らった。在籍者数なのか、それとも今いる看護師の数だろうか?「三好看護師にお礼をされるのですよね。時間によりますが、最大で十五名です」 ...
◯◯の秋 2025【完】

「気分は下剋上 ○○の秋」最終話(18禁)

「――祐樹、イノシシは本来臆病な生き物らしい。空腹時や、子連れのときは危険だとされているが、あれは一頭だけだ。また、この山で私が拾ったどんぐりや、二人で拾った栗も豊作と十分に言える量のはずだ。少なくとも飢えてはいない」 そういえば...
sira

「気分は下剋上 知らぬふりの距離」69

 そのメンズナース達の厚意は受け取ったが、果物かごの中身はどうでもいい。「久米先生、ほんのお礼の気持ちです。メロンやマンゴーなど何でも好きなだけ召し上がってください」 祐樹の言葉に久米先生は、歓喜の踊りを舞うカバのようだっ...
sira

「気分は下剋上 知らぬふりの距離」68

 そんな祐樹の前に柏木先生が立っていて、「お疲れ様」というように肩をポンポンと叩いた。「田中先生、久米先生のぜい肉のおかげで命拾いしたって!?やっぱり抑うつ患者は何をするか分からないから怖いよな」 柏木先生も精神科に苦手意識を持っ...
月見2025【完】

「気分は下剋上 月見2025」23

「こうして見る月は本当に綺麗だ」 祐樹の肩に頭を預けた最愛の人が夢見るように呟いている。「そうですね。二人で同じ物を見ている、そして徐々に南中へと至っていく過程をのんびりと眺める月は最高です」 空には雲一つなく冴え冴えと光る満月が...
◯◯の秋 2025【完】

「気分は下剋上 ○○の秋」25

「あの大きな岩に触れたら、本当に温かいのかを試してみたくなりました」 最愛の人は一瞬何かを言いかけたような気がしたが、祐樹の提案に花よりも綺麗な笑みを浮かべ、こちらへと歩みを進めた。お互い生まれたままの姿だったけれども、誰もいない...
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