医療モノ

「気分は下剋上」叡知な宵宮【完】

「気分は下剋上 叡知な宵宮」11

 またこの人はと…愛しさ八割、呆れ二割で端整な横顔を見た。「貴方に似ているからですよ」 祐樹は何度か告げたことはあったが、卓越した記憶力の持ち主でも、彼自身については無頓着な人だ。祐樹が「好みのストライクど真ん中です」と言...
maki

「気分は下剋上 巻き込まれ騒動」93

「終わりました」 祐樹にとってこの程度のことは、朝飯前だ。呉先生は森技官の顔を心配そうに一瞥し、頭の中で祐樹の動作を反復しているような真剣な表情を浮かべている。「田中先生、本当にありがとうございます。杉田師長ですよね?この...
maki

「気分は下剋上 巻き込まれ騒動」92

「ちっ!あの永遠の子供の、ワガママ爺さん!ま、いいわ。どうせ暇だし。どこに打つの?もちろん、田中先生が担当するのよね?」 舌打ちのあとで、テキパキと聞いてきた。最愛の人はツバメのように身をひるがえして車に戻った。森技官と呉...
maki

「気分は下剋上 巻き込まれ騒動」91

 祐樹は今、救急救命室がどんな状況なのか当然把握できていない。最悪の場合、血が床一面を覆い、臓器と血の臭いで野戦病院さながらの状況も充分あり得る。 森技官はそのどちらも生理的に無理で、かつて最愛の人と訪れた城下町では珍しい...
maki

「気分は下剋上 巻き込まれ騒動」90

 8050問題について祐樹はそこまで深く考えてはいなかったのは、専門が異なるせいだろうか?「なるほど、出来るなら森技官について行って、精神科医として意見を具申したら如何ですか?藤宮さんがあれほど取り乱した声をしていたという...
maki

「気分は下剋上 巻き込まれ騒動」89

「そんなことではないです。厚労省の官僚さまがどうしてもとおっしゃっていまして。機嫌を取っておくときっと優遇されますよ」 スマホ越しでも北教授が喜ぶ気配を感じた。森技官は広い肩を仕方なさそうに竦めて藤宮技官に指示を出している...
maki

「気分は下剋上 巻き込まれ騒動」88

 森技官は病院の不祥事を監督する立場なので色々な事例を見てきたはずだが、所詮は他人事ひとごとなのだろう。最愛の人も描いたように綺麗な眉を寄せている。「それは病院全体のマイナスイメージですから、最終手段としてやむを得ない時に...
「気分は下剋上 知らぬふりの距離」

「気分は下剋上 知らぬふりの距離」8

「今日は搬送されてきた患者さんがいなかったのはラッキーでしたね」 救急救命室にやや遅れて入った祐樹たちだったが、皆が手持ち無沙汰といった様子で、最愛の人が杉田師長にうまく取りなしてくれたのか、怒鳴られることはなかった。医療...
「気分は下剋上 巻き込まれ騒動」【完】

「気分は下剋上 巻き込まれ騒動」87

「なるほど、恐怖政治ですか?医局員を締め上げれば締め上げるほど反発は大きくなるのです。田中先生、梶原先生と早急に知り合いにならなければなりませんね。また、清水研修医は腹も据わっていそうな人ですので、一度お会いしたいです」 ...
「気分は下剋上 巻き込まれ騒動」【完】

「気分は下剋上 巻き込まれ騒動」86

「え?ウーバーイーツに暗証番号が必要なのですか?アプリで見ていらっしゃいますよね?そこに書いてあるのではないでしょうか?」 どうやら配達員と鉢合わせしたに違いない。森技官はマンションの一階まで帰ってきたのだろう。「え?森技...
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