医療モノ

「気分は下剋上」叡知な宵宮【完】

「気分は下剋上 叡知な宵宮」 3

「大阪の天神祭りの日、花火がよく見える帝国ホテルの部屋を予約したのですが、あいにく、どうしても外せない用事が私と岩松に入ってしまって、よろしければお二人で使ってくださいというのが岩松と私の意思なのです。お二...
「気分は下剋上 知らぬふりの距離」

「気分は下剋上 知らぬふりの距離」3

 最愛の人は長岡先生のことを、どこか困った妹として見ていることは知っている。もちろん、内田教授が「是非ウチの医局で准教授を務めてもらいたい」と熱烈なオファーを送るほど優秀な内科医という実力を認めた上...
maki

「気分は下剋上 巻き込まれ騒動」83

 仕事とプライベートはきっちりと分けたいと祐樹は考えていて特に最愛の人との愛の交歓のときはプライベートの中のプライベートだ。だから医学用語を使わずに二人にだけ分かる行為の言葉を使うのはある意味当然だと思っている。「実は、二...
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「気分は下剋上 巻き込まれ騒動」82

 誰も言葉を発しない時間がゆっくりと流れていく。 森技官は、まるで幕末の「鳥羽伏見の戦い」で誰も見たことのない天皇の象徴の「錦の御旗」を掲げて幕府軍を朝敵に仕立て、戦意を喪失させた岩倉具視のような顔をしていた。しかし、あち...
「気分は下剋上」叡知な宵宮【完】

「気分は下剋上 叡知な宵宮」 2

「あの日は、京都市内の店が自粛して灯かりを最小限にするのです。炎がより鮮明に見えるようにとの配慮みたいですが。だから、この前の屋上・・の艶っぽさを追求するなら」 屋上で色香だけをまとっていた肢体――と続けたかったが...
「気分は下剋上 知らぬふりの距離」

「気分は下剋上 知らぬふりの距離」2

 最愛の人の目をじっと見つめていた黒木准教授も、おそらく彼の意向を察したのだろう。満足そうに大きく頷いている。「私も日本酒がいただけるお店でしたら……喜んでお供します」 黒木准教授まで参加を表明したものだから医局は...
「気分は下剋上 知らぬふりの距離」

「気分は下剋上 知らぬふりの距離」1

「お疲れ様です」 祐樹が医局のドアをスライドさせると、最愛の人の姿がまず目に飛び込んできた。目の前にいるわけでも、そして、あの澄んだ綺麗な目を祐樹に向けているわけでもないにも関わらず。 定時上がりの医師はそろそろ帰...
「気分は下剋上 巻き込まれ騒動」【完】

気分は下剋上 巻き込まれ騒動 80

「いや、このアングルは良いのですが、表情が少し強張っているのではないかと思うのですが……?私の恋人は、もっと柔らかい笑顔で笑うのです」 祐樹達が撮ったスマホの写真、これで四回目のダメ出しだ。すでに諦念の悟りの境地に至ったつ...
「気分は下剋上 巻き込まれ騒動」【完】

気分は下剋上 巻き込まれ騒動 79

「田中先生、お願いします」 呉先生が朝日に照らされたスミレのような笑みでスマホを手渡してくる。最愛の人が森技官のスマホを持っているのだから、妥当な人選だろう。そして森技官は、神経回路がバグったままのようで、すたすたと歩いて...
「気分は下剋上 巻き込まれ騒動」【完】

気分は下剋上 巻き込まれ騒動 76

「え?私ですか……」 最愛の人は突然の指名に、一瞬だけ目を見開いたものの、すぐに怜悧で涼やかな表情へと戻った。「私なら爪片が皮膚に食い込んでないか、メスで切開して確かめます」 この上もないほどの真顔と、淡々とした声が「非常時」のキッチンの...
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