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「気分は下剋上 巻き込まれ騒動」93

「終わりました」 祐樹にとってこの程度のことは、朝飯前だ。呉先生は森技官の顔を心配そうに一瞥し、頭の中で祐樹の動作を反復しているような真剣な表情を浮かべている。「田中先生、本当にありがとうございます。杉田師長ですよね?この...
「気分は下剋上」叡知な宵宮

「気分は下剋上 叡知な宵宮」10

「うん!美味しい!衣がサクサクとしている。それに、天ぷらと違って厚みがあるのだな……。具体的にどうやって作るのだろう?ソースも濃厚で甘味が強いな……」 切れ長の目に無垢な煌めきを宿し、綻んだ唇は静かな感想を紡ぐ。祐樹も、サ...
「気分は下剋上 巻き込まれ騒動」

「気分は下剋上 巻き込まれ騒動」92

「ちっ!あの永遠の子供の、ワガママ爺さん!ま、いいわ。どうせ暇だし。どこに打つの?もちろん、田中先生が担当するのよね?」 舌打ちのあとで、テキパキと聞いてきた。最愛の人はツバメのように身をひるがえして車に戻った。森技官と呉...
「気分は下剋上」叡知な宵宮

「気分は下剋上 叡知な宵宮」9

「祐樹、祐樹の言った通り、串カツ屋さんがある!」 最愛の人の咲き初めた花のような無垢な笑みと弾んだ声が、川沿いのお祭り会場に漂っていた湿度すら吹き飛ばすようで、祐樹は思わず息を深く吸い込んだ。彼は紺よりも少しだけ夜空に近い...
「気分は下剋上 巻き込まれ騒動」

「気分は下剋上 巻き込まれ騒動」91

 祐樹は今、救急救命室がどんな状況なのか当然把握できていない。最悪の場合、血が床一面を覆い、臓器と血の臭いで野戦病院さながらの状況も充分あり得る。 森技官はそのどちらも生理的に無理で、かつて最愛の人と訪れた城下町では珍しい...
「気分は下剋上 巻き込まれ騒動」

「気分は下剋上 巻き込まれ騒動」90

 8050問題について祐樹はそこまで深く考えてはいなかったのは、専門が異なるせいだろうか?「なるほど、出来るなら森技官について行って、精神科医として意見を具申したら如何ですか?藤宮さんがあれほど取り乱した声をしていたという...
「気分は下剋上」叡知な宵宮

「気分は下剋上 叡知な宵宮」8

【ご注意ください】 この回には「鬼滅の刃 無限城編」に関する内容が含まれています。 ネタバレ回避に配慮しておりますが、わずかでも情報を入れたくない方はスルーをおすすめします。 「ただ、鬼の始祖がある程度のリスク...
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「気分は下剋上 叡知な宵宮」7

【ご注意ください】 この回には「鬼滅の刃 無限城編」に関する内容が含まれています。 ネタバレ回避に配慮しておりますが、わずかでも情報を入れたくない方はスルーをおすすめします。 「この扇形の部屋から川が180度も見えるの...
「気分は下剋上 巻き込まれ騒動」

「気分は下剋上 巻き込まれ騒動」89

「そんなことではないです。厚労省の官僚さまがどうしてもとおっしゃっていまして。機嫌を取っておくときっと優遇されますよ」 スマホ越しでも北教授が喜ぶ気配を感じた。森技官は広い肩を仕方なさそうに竦めて藤宮技官に指示を出している...
「気分は下剋上」叡知な宵宮

「気分は下剋上 叡知な宵宮」 6

 いや、常識で考えて殺人罪には問われないと思う。呪うという行為そのものは祐樹も理解できないが、そこまで憎んだ相手の身代わりとして、深夜、藁人形を打ち付けるという切羽詰まった行動は、気分の晴れる行為なのではないかなと考えた。...
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