「気分は下剋上」叡知な宵宮

「気分は下剋上 叡知な宵宮」23

 ホテルが見えたと同時につないだ手を祐樹は名残惜しげに離した。近づくにつれてホテルのエントランスが異様な雰囲気になっていた。笑顔が地顔のようなホテルマンたちも厳しい表情で、五人も玄関前に立ちはだかっていた。浴衣姿や...
「気分は下剋上 知らぬふりの距離]

「気分は下剋上 知らぬふりの距離」教授視点 1

この作品は、夏輝の父・有瀬誠一郎が搬送される前の、香川教授視点です。 毎日更新は無理ですが、時間のある時に不定期更新します。 教授がナツキのことをどう考え、祐樹も知らないうちにどう行動したのか―― 気になる読者様に読んで...
「気分は下剋上 知らぬふりの距離]

「気分は下剋上 知らぬふりの距離」15

「そりゃそうですよね。こんなお堅い職場で、そこまでカミングアウトしたら大変なことになってしまうと僕も思います。それで、香川教授や田中先生と僕はどうやって知り合ったかと突っ込まれたら、どう返せばいいですか?」 夏輝も...
yoimiya

「気分は下剋上 叡知な宵宮」22

本話は濃いめの描写を含みますが、行為そのものには至っておりません。 「ああ、お好み焼きも本当に美味しかった!それにあのマヨネーズの幾何学模様もまさに神業だったな」 最愛の人が咲き切った紅薔...
yoimiya

「気分は下剋上 叡知な宵宮」21

 一度だけ祐樹は最愛の人に「包帯問題」を語った覚えがある。卓越した記憶力を持つ最愛の人はそれを覚えていてくれたらしい。「そうです。包帯だけで、補助具を使わずあのように巻くのは、ほぼ不可能ですよね。しかも『百鬼夜行』...
「気分は下剋上 知らぬふりの距離]

「気分は下剋上 知らぬふりの距離」14

 夏輝はスマホを見て「まだ既読がついてない!母さん、吞んだくれている場合かよ」と苛立った感じで独り言めいた感じで祐樹にも状況を伝えてくれていた。 吉田医師は先ほど祐樹に詰め寄った、ユズルという人のお母さまに説明をし...
yoimiya

「気分は下剋上 叡知な宵宮」20

「祐樹、気になったのは?」 最愛の人はすぐそばにあった屋台へと下駄の音も軽やかに足を動かしている。「祐樹、この銘柄がお気に入りだったよな?」 お揃いのブラックコーヒーの一つを渡してくれた。指先がかすかに触れ合い、薄...
sira

「気分は下剋上 知らぬふりの距離」13

「すみません。ユズルさんのお母さまは下手をすると、ここにまで押しかけそうな勢いでしたので……。有瀬さんのご子息にはきちんと許可を得て離れました。しかし、配慮不足だった点はお詫びします」 頭を下げた祐樹に杉田師長は何...
sira

「気分は下剋上 知らぬふりの距離」12

「そうみたいですね。今は容態が安定している父よりも、もっと深刻なかたがたくさんいらっしゃる……」 夏輝は自然に声を落としている。「グレイス」でも感じた、周囲の空気を読む繊細さ。今もまた、命の境界線にいる患者さんやそ...
yoimiya

「気分は下剋上 叡知な宵宮」19

 ただ、一度ホテルに入ったら、扇型の部屋に行って、愛の交歓になだれこむのは必至だ。花火が上がる時間までこの屋台と、人々の喧騒、そしてソースや油、そしてりんご飴の甘い香りが混ざった熱気のある空気を楽しみたい。「ブラッ...
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