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「気分は下剋上 知らぬふりの距離」5

「薔薇の花束や、この百合に込められた悪意は私でも説明出来ますが、未来の嫁姑問題に関しては、正直自信がありません。独身者には荷が重いですし、説得力にも欠けます。そういうのに詳しいのは柏木先生ではないでしょうか?祐樹、...
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「気分は下剋上 知らぬふりの距離」4

「それで、祐樹と私に何かご用ですか?」 長岡先生の個室のある階は人通りが極端に少ない。教授執務階だと教授に呼び出された医師が、うなだれたり真っ青な顔でドアの前に立っていたりする。彼女は最愛の人が、凱旋帰国し...
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「気分は下剋上 知らぬふりの距離」3

 最愛の人は長岡先生のことを、どこか困った妹として見ていることは知っている。もちろん、内田教授が「是非ウチの医局で准教授を務めてもらいたい」と熱烈なオファーを送るほど優秀な内科医という実力を認めた上...
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「気分は下剋上 知らぬふりの距離」2

 最愛の人の目をじっと見つめていた黒木准教授も、おそらく彼の意向を察したのだろう。満足そうに大きく頷いている。「私も日本酒がいただけるお店でしたら……喜んでお供します」 黒木准教授まで参加を表明したものだから医局は...
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「気分は下剋上 知らぬふりの距離」1

「お疲れ様です」 祐樹が医局のドアをスライドさせると、最愛の人の姿がまず目に飛び込んできた。目の前にいるわけでも、そして、あの澄んだ綺麗な目を祐樹に向けているわけでもないにも関わらず。 定時上がりの医師はそろそろ帰...
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