「気分は下剋上 巻き込まれ騒動」

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「気分は下剋上 巻き込まれ騒動」89

「そんなことではないです。厚労省の官僚さまがどうしてもとおっしゃっていまして。機嫌を取っておくときっと優遇されますよ」 スマホ越しでも北教授が喜ぶ気配を感じた。森技官は広い肩を仕方なさそうに竦めて藤宮技官に指示を出している...
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「気分は下剋上 巻き込まれ騒動」88

 森技官は病院の不祥事を監督する立場なので色々な事例を見てきたはずだが、所詮は他人事ひとごとなのだろう。最愛の人も描いたように綺麗な眉を寄せている。「それは病院全体のマイナスイメージですから、最終手段としてやむを得ない時に...
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「気分は下剋上 巻き込まれ騒動」87

「なるほど、恐怖政治ですか?医局員を締め上げれば締め上げるほど反発は大きくなるのです。田中先生、梶原先生と早急に知り合いにならなければなりませんね。また、清水研修医は腹も据わっていそうな人ですので、一度お会いしたいです」 ...
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「気分は下剋上 巻き込まれ騒動」86

「え?ウーバーイーツに暗証番号が必要なのですか?アプリで見ていらっしゃいますよね?そこに書いてあるのではないでしょうか?」 どうやら配達員と鉢合わせしたに違いない。森技官はマンションの一階まで帰ってきたのだろう。「え?森技...
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「気分は下剋上 巻き込まれ騒動」85

 今の祐樹に出来ることは、精神科の医局の情報を清水研修医から聞き出して、森技官が帰ってきた時に補足情報を引き出す程度だ。『ああ、あの二人ですか。患者さんではなくて、老害の顔色をうかがっているだけです。老害が『カラス...
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「気分は下剋上 巻き込まれ騒動」84

『それで、いよいよ例の先生が決起じゃない、決心を固められたということですね』 清水研修医の声は弾んでいるが、固有名詞を使わないという細やかな配慮もきっと清水病院長の帝王教育の賜物だろう。何しろ清水病院長は、京都一の...
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「気分は下剋上 巻き込まれ騒動」83

 仕事とプライベートはきっちりと分けたいと祐樹は考えていて特に最愛の人との愛の交歓のときはプライベートの中のプライベートだ。だから医学用語を使わずに二人にだけ分かる行為の言葉を使うのはある意味当然だと思っている。「実は、二...
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「気分は下剋上 巻き込まれ騒動」82

 誰も言葉を発しない時間がゆっくりと流れていく。 森技官は、まるで幕末の「鳥羽伏見の戦い」で誰も見たことのない天皇の象徴の「錦の御旗」を掲げて幕府軍を朝敵に仕立て、戦意を喪失させた岩倉具視のような顔をしていた。しかし、あち...
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気分は下剋上 巻き込まれ騒動 81(18禁)

※このお話には大人向けの描写(R-18相当)が含まれます。年齢に達していない方の閲覧はご遠慮ください。  森技官の右手がゆっくりと呉先生のスラックスの前へと降りていくことで、均衡は崩れた。指先は、明らかにそこに熱を灯...
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気分は下剋上 巻き込まれ騒動 80

「いや、このアングルは良いのですが、表情が少し強張っているのではないかと思うのですが……?私の恋人は、もっと柔らかい笑顔で笑うのです」 祐樹達が撮ったスマホの写真、これで四回目のダメ出しだ。すでに諦念の悟りの境地に至ったつ...
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