kouyamamika

sira

「気分は下剋上 知らぬふりの距離」58

 精神科は、当たり前だが精神病を患った人が入院するので、「錯乱した患者に殴りかかられ、眼鏡を壊された医師など珍しくない」と呉先生に聞いた。しかし、望んでもいないのに、局部を触られていい気持ちがするわけもないことくらいは想像...
tukimi

「気分は下剋上 月見2025」16

「祐樹、あれが、この部屋を照らす最初の月光だ」 最愛の人の声が月の光のように蒼く艶めいて聞こえた。まるで先ほどまで話題にしていたホープダイヤの煌めきに似ているような気がした。「綺麗な満月ですね。しかし、初めてとは?」 綺麗に剪定さ...
aki

「気分は下剋上 ○○の秋」19

「いえ、先ほどのよりもイガの開き具合がイマイチですので、これを使いましょう」 山道に落ちていた枝を拾い強度を確かめた。「そうなのか?そういえば中の実が見える割合が少ないような気がする」 最愛の人は熱心な学生のように祐樹を見上げてい...
sira

「気分は下剋上 知らぬふりの距離」57

 最愛の人の電話の相手は病院長ではなさそうだが、病院上層部の人間だということが分かった。そして内科の内田教授・小児科の浜田教授のように普段から親しくしている人ではないのは口調から分かる。黒木准教授は多分気付かないほどの微か...
tukimi

「気分は下剋上 月見2025」15

「博物館やハリー・ウィンストンといった法人が持つ場合には別にいいと思いますが個人で持つと呪われるのでしょうか?」 二人で行ったスミソニアン博物館展の説明書きに書いてあったことを思い出しながら口にした。ちなみに祐樹は無神論者...
sira

「気分は下剋上 知らぬふりの距離」56

 もしかして、森技官が暗躍しているのではないかと思った。森技官も恋人のひいき目ではなく、呉「教授」を切望している。森技官は徹底したリアリストなので、恋人とはいえ私情で推すことはしないと分かっている。そして多忙を縫って何らか...
短編

「気分は下剋上 BD・SP」おまけ後編・下

「ゆ…田中先生、呼び立ててしまって済まない。アッシュベリー先生から『田中先生と一緒に味わってください』というカードと共にこれが届いた」 執務室に入ると、最愛の人の笑顔が心を、そして、ミントグリーンのワイシャツと緑色と白のストライプ...
aki

「気分は下剋上 ○○の秋」18

「奇跡的に落ち葉が溜まっていたところに落ちたのです。その家の人が慌てて病院に連れていってくれましたが、何の異常もありませんでした。そして、お詫びにと柿を山ほどもらいましたね。しかし、当たり前ですが、母にはこっぴどく叱られました。栗...
月見2025【完】

「気分は下剋上 月見2025」14

 中秋の名月近くの土日で、お出かけデートではなく、自宅でまったり過ごすときに最愛の人は月見だんごを作ってくれるがだん・・ご・部分は白だった。京都ではそれが当たり前だと思っていたに違いない。そしてこの旅館には関東の人も来るの...
「気分は下剋上 知らぬふりの距離」

「気分は下剋上 知らぬふりの距離」55

「私が主治医を務めている兵頭さんの件なのですが」 黒木准教授は流石、香川教授の女房役を自他ともに認めているだけあって、即座に名前と顔が一致したらしい。祐樹などは自分が主治医か執刀医でない患者さんの名前と顔は一致しないというのに、こ...
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