kouyamamika

sira

「気分は下剋上 知らぬふりの距離」13

「すみません。ユズルさんのお母さまは下手をすると、ここにまで押しかけそうな勢いでしたので……。有瀬さんのご子息にはきちんと許可を得て離れました。しかし、配慮不足だった点はお詫びします」 頭を下げた祐樹に杉田師長は何...
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「気分は下剋上 知らぬふりの距離」12

「そうみたいですね。今は容態が安定している父よりも、もっと深刻なかたがたくさんいらっしゃる……」 夏輝は自然に声を落としている。「グレイス」でも感じた、周囲の空気を読む繊細さ。今もまた、命の境界線にいる患者さんやそ...
「気分は下剋上」叡知な宵宮

「気分は下剋上 叡知な宵宮」19

 ただ、一度ホテルに入ったら、扇型の部屋に行って、愛の交歓になだれこむのは必至だ。花火が上がる時間までこの屋台と、人々の喧騒、そしてソースや油、そしてりんご飴の甘い香りが混ざった熱気のある空気を楽しみたい。「ブラッ...
「気分は下剋上 知らぬふりの距離]

「気分は下剋上 知らぬふりの距離」11

 家族控室には、スマホを弄りながらぽつんと佇む青年が一人いた。 他は事故の知らせを聞いて駆け付けた人たちがあちこちに集まり、小さな輪を作っていた。互いに肩を寄せ合い、不安を分け合うように。 誰とも言葉を交わすことなく輪の外...
「気分は下剋上」叡知な宵宮

「気分は下剋上 叡知な宵宮」18

 「鬼退治アニメ」の「黄色い少年」ならぬ「青年」の浴衣を着付けたことなどなかったかのように、最愛の人は満開の薄紅色の薔薇のような笑みを浮かべ、弾む足取りでいちご飴の屋台に向かっている。「祐樹、よく考えたのだが、りん...
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「気分は下剋上 知らぬふりの距離」10

この作品には、『叡智な一日』をお読みの方にとって 「どこかで見覚えのある青年」が登場します。 本編とあわせてお楽しみください。  祐樹が「夏輝」と書いた該当箇所をタップすると、今度は呼び出し音が鳴っている...
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「気分は下剋上 叡知な宵宮」17

「どちらかというと、いちご飴ですね。愛らしい一口サイズですし――」 唇を薄紅色の耳朶に寄せた。「ホテルでの愛の交歓のあとは喉が渇くでしょう?その時に手軽に召し上がれるのは、いちご飴ではないでしょうか?」 色香の他に...
「気分は下剋上 知らぬふりの距離]

「気分は下剋上 知らぬふりの距離」9

 救急車のサイレンの音が近づいてきた。一台だけなのできっとあれが祐樹の担当する患者を乗せた車だろう。普通の人なら慌ただしさを感じるだろうが、祐樹は感覚が麻痺しているのか、(これから頑張るぞ!)という気持ちにしかなら...
「気分は下剋上」叡知な宵宮

「気分は下剋上 叡知な宵宮」16

「それが……たこ焼きは、表面は冷えていても中は熱々だということが多いです。救急救命室の凪の時間に久米先生が何度口の中に火傷を負ったか。それに懲りたらしく、たこ焼きではなくてお好み焼きにシフトしましたよ……」 大学病...
「気分は下剋上 巻き込まれ騒動」

「気分は下剋上 巻き込まれ騒動」最終話

「祐樹、このニュース速報……」 トレーにコーヒーを載せてリビングに軽やかに入ってきた彼も涼しげな眼を見開いている。「森技官がこのタイミングを狙って、白石志保にマスコミの目が集中するように仕向けたのでしょうね。ちなみに清川大...
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