kouyamamika

「気分は下剋上 知らぬふりの距離」

「気分は下剋上 知らぬふりの距離」49

「柏木先生、准教授会が残念ながら延長になったようです」 黒木准教授は外科的なセンスは並みといったところだが仕事は早い。医局で何かが起こったとき、すぐに連絡が取れるように情報を書き換えたのだろう。兵頭さんのウツの件を早く相談したかっ...
◯◯の秋 2025【完】

「気分は下剋上 ○○の秋」12

「神戸の六甲山にドライブに行ったときもイノシシを見ましたよね。うり坊は小さくて可愛かったですが、成体は……」 最愛の人も描いたように綺麗な眉を寄せている。祐樹の言いたいことを即座に推察したのだろう。祐樹と同じ、いやそれ以上の頭脳を...
短編

「気分は下剋上 BD・SP」前編

「森技官、田中です。お時間少しよろしいですか?」 スマホ越しに慌ただしそうな物音が聞こえてくる。『重要な用件なら時間は作ります。藤宮!この法案の第二項は対象者が少なすぎる!社会的弱者をさらに救うように修正しないと厚労委員会にも通ら...
月見2025【完】

「気分は下剋上 月見2025」6

 それでも祐樹や柏木先生が久米先生見捨てないのは愛嬌がある点と、そして何より外科医としての才能が素晴らしいからだ。「美味しい食事と、世界で最も美味なコーヒーありがとうございました。温泉も楽しみです」 ごちそうさまと言った後...
「気分は下剋上 知らぬふりの距離」

「気分は下剋上 知らぬふりの距離」48

 滅多に見せない柏木先生の真剣な顔は心なしか男前に見えた。「もちろんです」 柏木先生は医局の秩序を重んじる人なのでまずは黒木准教授に報連相をするつもりなのだろう。「今の時間は確か……」 柏木先生がパソコンの共用ファイルを開...
◯◯の秋 2025【完】

「気分は下剋上 ○○の秋」11

「白の鉢巻か……。一応干瓢かんぴょうも考えたのだけれども、真っ白にはならなかったので諦めた。他に白くて巻くことが出来る食材はあるだろうか?」 最愛の人が作ってくれる最高に美味しいお節料理の昆布巻きにも干瓢が使われているが茶...
◯◯の秋 2025【完】

「気分は下剋上 ○○の秋」10

「焼き栗?祐樹と行った花火大会の屋台に『天津あまつ甘栗あまぐり』が売っているのを見た覚えはあるが、りんご飴に気を取られて結局買っていないな」 きのこの山を弾む指先で摘まんで口に入れた最愛の人の無邪気な笑みを見ながら、「あま...
sira

「気分は下剋上 知らぬふりの距離」47

 執刀医も兼ねている祐樹は患者さんとの長い時間のコミュニケーションは不可能なので、移動の時間も時短を心がけている。「田中先生、三分お時間宜しいですか?」 三好看護師が小さな声で祐樹を呼び止めた。一般的な会社に在籍したことはないので...
月見2025【完】

「気分は下剋上 月見2025」5

「この旅館か。雑誌に『中秋の名月に行きたい旅館 トップ5』としてランクインしていたな」 最愛の人はビジネスパーソン向きの経済雑誌を読んでいるのは知っていた。おそらくその雑誌に載っていたのだろう。「そうなのですか?具体的にど...
sira

「気分は下剋上 知らぬふりの距離」46

「有瀬さん、お加減いかがですか?」 夏輝の父・有瀬誠一郎氏の主治医として病室のドアを形ばかりノックしてスライドさせた。ベッドに半身を起こしていた有瀬氏は祐樹をちらっと見た後、ドアの向こうに誰かがいるように視線をさまよわせている。「...
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