「気分は下剋上 ○○の秋」25(18禁)

◯◯の秋 2025【完】
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This entry is part 26 of 27 in the series 「気分は下剋上 秋の愉しみ」2025

「そうなのですか?しかし、貴方は『鬼退治アニメ・柱稽古編』で主人公たちが岩にくっついて『温かい』と言っていたのを検証する私を止めませんでしたよね?もし、岩が冷たいと予想できたなら、貴方は制止したはずです。あの岩が温かいと何故分かったのですか?」
 最愛の人は川面にたゆたう寒椿の花のような笑みを浮かべている。
「それは、この温泉のせいだ。シゲさんが教えてくれていただろう。こういうお湯が湧く場所は地熱が高いため、岩もその熱の影響を受けて温かくなる。また、今日はとてもいい天気だっただろう。祐樹と私は、シメジや栗を拾いに歩いたせいで汗だくになったが、何もせずにいても汗ばむほどの陽気だった。その太陽からの熱をふんだんに浴びている岩なのは空を見て分かった。この二点から祐樹が期待するような『岩の温かさ』があると思ったのだ」
 なるほどと感心してしまう。最愛の人の博覧強記ぶりは知っていたが、その知識を祐樹が喜ぶことに使ってくれているのも、ものすごく愛おしい。
「聡、この大自然の中で、聖書のアダムとイブになったつもりで愛し合いませんか?イブが女性だったのは当然知っています」
 甘い毒のような言葉を薄紅色の耳へと注いだ。まだ薄紅色の胸の二つの突起を親指の爪でそそのかすようにピンと弾いた。
「あ……っ」
 最愛の人の歔欷の声が川の水面に薄く漂っている湯気を紅く染めるような気がした。
「羨ましいことに、アダムとイブは二人だけの世界でどこでもこういうことが出来たのですよね。しかし、この山の中は幸いにも私達二人なのですから、周りのことなど一切気にせずに愛の交歓が出来ます」
 祐樹の指と爪の愛撫でルビーのような色に染まった二つの尖りは、むしろ苦しげにせり出している。
「祐樹……っ、この場で愛し合おう……」
 最愛の人の艶やかな声が慎ましく黄昏時の迫る清浄な空気に溶けていく。最愛の人は艶めいた眼差しを周囲に向け、シゲさんが置いたと思しき岩の中で最も滑らかなものに向かって歩き出した。温い川から上がって愛の交歓をするのだろうなとは思っていたが、彼はこの川の中での行為を望んでいるのだろう。
 祐樹は、最愛の人の薄紅色の指に、指を付け根まで絡めた。最愛の人の艶やかな眼差しにダイヤモンドの無垢さが加わって祐樹の目を射るようだった。いや、射抜かれたといってもいい。指の付け根まで絡めるという些細な愛の仕草は最愛の人が大好きだとは知っている。
 二つのピンとった胸の紅い飾りと呼応するように、彼の下腹部の花芯も八割がた育っている。その先端部分から零れた水晶の雫が夕焼け空の紅さを映して川面にポトリと落ちていくのも絶品だった。祐樹が岩に身体を委ね、最愛の人の薄紅色の肢体を抱え上げた。
「いきなりれることになっても、構いませんか?」
 先端部分で最愛の人の極上の花園の門をノックするように触れると、しどけなく開いた花園が祐樹を包み込んでくれる。
「まずは、快感の核があるココですよね?」
 祐樹の先端部分が花園の中の小さくて硬い場所を突くと祐樹の腕に抱え上げられた背中が紅いアーチのように綺麗に反った。祐樹が最愛の人の身体を抱き上げたままで花園の中に迎え入れられるという愛の営みの形は、浮力に助けられて普段よりは楽だ。
「ゆ……祐樹……っ、もっと奥を開いて欲し……っ」
 最愛の人の声はまるで金の粉を撒いているような艶めかしさと煌びやかさに満ちているように思えた。
「聡の肢体の中の天国は、私にとって本物の天国にいるよりも魅惑に富んでいます」
 腰を突き上げると、湿った粘膜が淫らな音を立てている。熱く湿った二人の素肌の協奏曲が水面に高く低く流れていくようだった。最愛の人は目を閉じたまま、祐樹の胸に預けた肢体を伸ばして振り向いて唇を重ねてくれた。熱く厚い濡れたシルクを蹂躙していた祐樹の動きが、ガサッという音とともに一瞬にして止まった。
 まさかと思ってそちらを見るとイノシシが姿を現している。シゲさんが言った通り、この山にいるイノシシなのだろう。そう判断した瞬間に祐樹の愛情と欲情の楔がクタリと力を失った。この状態でそういう憂き目に遭わないのはゴルゴという名のスナイパーだけだろう。あいにく祐樹はそのキャラのような精神的タフさを持ち合わせていない。
「祐樹、よくあることだと大学で習った。気にしないで、またの機会に」
 行為に没頭しすぎた最愛の人はこの異常事態に気づいていないようだった。異変に気付かない彼は、祐樹の状態をいわゆる「中折れ」の状態だと勘違いしたようだ。襲ってくるだろうか?文字通り猪突猛進されたら、今の祐樹にはなすすべがない。しかし、この状態で襲われて、シゲさんにでも発見され、救急搬送の憂き目にあったら、二人が何をしていたかなんて救急救命医なら誰だって分かるだろう。それだけは避けたいと脳がフル回転している。
「祐樹?」
 最愛の人は祐樹のただならぬ様子に気付いたのか、首を前へと向け、絶句した。

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